研究概要 |
本研究では,手術中の低血圧維持を行う血圧制御システムを,京都大学医学部附属病院以外で利用可能なものとし,また危険回避機能や個体差への対応機能を高度イヒすることを目的として,(a)汎用型インターフェイスの検討,(b)危険回避機能の高度化,(c)個体差への自動対応機能の検討を行った.具体的には,(a)に関しては,京大病院以外の病院の手術室において血圧等の測定量を得るためのインターフェイスについて調査した.(b)に関しては,血圧制御時の輸液の調整および輸血の指示を行うプログラムを開発した.(c)に関しては,自動的に個体差およびに薬剤に対する応答の経時的変化に対応するアルゴリズムについて検討し,シミュレーションによって動作確認を行った.その結果,以下のことがわかった.●病院の手術室における患者のデータの取得はアナログ信号あるいはRS-232Cインターフェイス経由のディジタル信号として得られ,両方のインターフェイスを用意しておくことにより,汎用的に利用できるシステムが開発可能であると考えられる.●血圧制御時に出血量に応じて輸液速度の調整および輸血の指示を行うプログラムを作成し,シミュレーションおよび臨床応用により動作を確認したところ,ほぼ適切な判断が行われた.●自動的に個体差および薬剤に対する応答の経時的変化に対応するために,降圧剤の最大注入速度の自動調整アルゴリズムと血圧値に基づいたゲイン調整アルゴリズムを作成し,シミュレーションにより動作を確認したが,まだ不十分な部分があり.継続して検討が必要である.今後は,さらに危険回避機能を充実し,個体差と薬剤に対する応答の経時的変化に適切に対応できるアルゴリズムを作成し,調査を行った病院でも利用できる汎用型血圧制御システムの開発を行う.
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