研究概要 |
本研究では,ヒトの手の運動制御機能の動特性(手の位置・力とスチフネスが脳により随意に調節される機能)を取り入れ,かつ感覚情報の伝達機能(義手の指の開閉角度と把握力などの情報を切断者に伝達する機能)を備えた高機能の筋電義手の開発を目的とした. 具体的には,携帯可能な電池駆動を目指した手先部電子制御回路を試作した.本制御回路では,筋電図処理回路の小型化、耐雑音性の高いモータ駆動回路を図り,バッテリにより駆動することで,使用者が常に携帯することができる.本システムでは,外部信号により義手の連続開閉動作が6時間可能であることを確認した.さらに,皮膚の持つ粘弾性を備え物体把握時の柔らかさを発揮し,機構部の保護と装飾性を備えた筋電義手グローブを試作した.グローブは,脱タンパク天然ゴムを用いたものであり,従来の市販品と比べ柔軟性に優れている.これにより,義手の負荷になりにくく,本義手が持つ優れた機能を損なわず動作することを示した. また,電気刺激を用いた感覚情報伝達装置において刺激を提示するための刺激電極を試作した.試作した電極は,制御信号である筋電電極において,電気刺激を提示した際に生じる雑音を誘導しないように,刺激電極の周囲をシールドしたものである.
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