研究概要 |
本研究では,ヒトの手の運動制御機能の動特性(手の位置・力とスチフネスが脳により随意に調節される機能)を取り入れ,かつ感覚情報の伝達機能(義手の指の開閉角度と把握力などの情報を切断者に伝達する機能)を備えた高機能の筋電義手の開発を目的とする.具体的には,携帯可能な筋電義手(電動手先部と感覚情報伝達装置)を試作する.次に,二名の切断者に日常生活において使用してもらい,その有用性を示すと共に,実用化の可能性を明らかにする.本年度は,以下の項目について研究を遂行した. 1.手先部電子制御回路の試作 高出力モータを駆動するための手先部電子制御回路を試作した.電子制御回路にはマイクロプロセッサ(H8/3468F日立製作所)を用いた.また,モータ駆動回路の設計を行い,試作した. 2.感覚情報伝達装置の情報伝達方式の検討 感覚情報伝達装置において,電気刺激を用いた基礎的な心理物理実験を行った.一つの刺激電極を用い,前腕屈側部を刺激呈示位置としたときの感覚閾値と痛み閾値の測定を行った. 3.グローブの設計・試作 義手のグローブは柔軟で,強靭で,形状保持性が要求される.本研究では,従来市販品されてきた塩化ビニル製グローブより柔軟性にすぐれている,脱タンパク天然ゴムを用いたグローブを試作した.義手に装着して開閉動作を行わせ,義手の負荷が小さいことを示した.
|