本研究は、強度、耐久性のみならず、低発熱性をも有する高流動コンクリートの開発を目的とするもので、本年度は、このような低発熱型高流動コンクリートの合理的な配合設計法を確立し、尿素の添加量と強度および発熱特性との関係について明らかした。 本研究に用いる混和材は、発熱反応のほとんどない石灰石微粉末と溶解度が高く水と吸熱反応する尿素である。このうち、石灰石微粉末は、高流動コンクリートの材料分離抵抗性を確保するためのもので、尿素はセメントの水和反応による発熱を低減するために本研究で初めて用いたものである。本研究では、尿素と水の吸熱反応が練混ぜ直後のコンクリート温度を低下させるだけでなく、尿素がセメントの水和を遅延させることによってコンクリートの温度上昇量を低下させることを明らかした。さらに、尿素が減水剤の働きをし、それによる強度増加が、凝結遅延による強度低下を補うことを明らかにした。また、セメントの種類、水セメント比および尿素の添加量が、コンシステンシーは、いかなる場合も65±5cmとした、この種の高流動コンクリートの凝結時間、スランプフローの経時変化、強度および発熱特性におよぼす影響について明らかにした。また、実験結果をもとにして、低発熱型高流動コンクリートの配合設計法を確立した。すなわち、所望の強度と発熱特性を有する高流動コンクリートの水セメント比および単位水量を決定することを可能にした。
|