研究概要 |
自己充填性を有する高流動コンクリートは、施工の善し悪しに影響されることなくコンクリート構造物を建設することが可能であることや、従来では打込みが困難であった狭い閉所にも適用可能であることにより、実際の現場においても様々な形で用いられている。しかしながら、高流動コンクリートという呼び名のためか、開発の重点が流動性におかれ、流動性のみならず耐久性やその他の性質も優れたハイパフォーマンスコンクリートの開発という、岡村らの当初の目的から研究の方向が少しずれてきているように思われる。 本研究は、このような現状を考慮し、強度、耐久性のみならず、低発熱性をも有する高流動コンクリートの開発を目的とするものである。本研究においては、石灰石微粉末を粉体として用い、高性能減水剤および分離低減剤を用いた併用系高流動コンクリートをベースにする。このようなコンクリートに尿素を添加し、尿素が水と吸熱反応することを利用して低発熱性を付与する。まず、このような低発熱型高流動コンクリートの合理的な配合設計法を確立し、強度と発熱特性との関係および尿素の添加量の決定について明らかにした。 本研究で開発しようとする高流動コンクリートは、単に自己充填性を有するだけでなく、耐久性に優れ、乾燥収縮が小さく、温度ひびわれを防止することの可能な低発熱性を有するハイパフォーマンスコンクリートである。本研究のように、混和材料の吸熱反応によって低発熱性を確保する方法は内外ともに最初の試みであり、きわめて独創的である。その成果は、ダムの内部コンクリートや長大橋の橋脚基礎などのマスコンクリートの合理化施工に貢献するところきわめて大きいと考えられる。 さらに,最近の骨材の品質が低下している事情を考え,骨材の種類に関係なく,所定の自己充填性能をもったコンクリートを安定して製造する目的で,石灰石微粉末の効果についても検討を行った。
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