研究分担者 |
岩本 政己 名古屋工業大学, 社会開発工学科, 講師 (60232716)
木村 吉郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50242003)
堀 宗朗 東京大学, 地震研究所, 助教授 (00219205)
山本 洋 株式会社 小野測器, センサ応用事業部, 部長代理(研究職)
山下 彰彦 鉄道総合技術研究所, ユレダス開発推進部, 主幹(研究職)
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研究概要 |
本研究では,社会基盤施設の実応力や構造健全性を診断する際の作業を簡素化し,かつ,空間的に分布した変形データを容易に計測する実用的方法として,非接触で長距離計測が可能なレーザードップラー速度計を用いた実用的振動計測法を構築した. 研究の第1段階では,雑音レベルなどが制御しやすい室内実験によって振動数とモード形の測定・解析法を確立すること,ならびに,雑音レベルの高い実際の屋外計測データに適したデータ処理法の構築を行うこと,の2点について主に研究・開発を行った.計測法については,レーザ計測の測点を測定対象領域上にスイープさせることで,空間的に分布した振動応答を計測し,モード形を簡易に同定する手法を開発することに成功した.その際に,加振条件が未知である常時微動計測に対しても,継続的な繰り返し計測を行うことで本方法が有効であることが確認された.また,データ処理法については,実際の橋梁で従来型の加速度計によって得られた,雑音レベルが高いと思われる実測記録を用いて検討を行った.特に,雑音レベルが高いデータの信頼性の評価法をBootstrap解析に基づいて新たに構築することに成功した.その結果,ある信頼性区間によって,定量的に構造物の性能を評価することが可能となった. 次いで,室内実験におけるレーザー計測法と上述の新たな信頼性評価法を組み合わせて,橋梁の床版の振動を対象として,屋外計測における実用的なレーザー計測法ならびにデータ処理法を構築した.現場における高雑音の環境下においても,数回の繰り返し計測のみで高い精度での振動モード特性の計測を実現し,提案するシステムが十分に高い実用性を持つことを示すことができた.今後,得られたモード特性,空間的計測結果と維持管理基準や劣化度を関連付けることで,レーザー計測による高効率・高信頼性の構造物診断の実現が可能となると期待される.
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