研究課題
本研究の主たる目的は、海外における木造橋梁の体系的な実情調査、各国並びに我が国における木材の材料学的物性特性の検討、各国の木造橋梁の診断並びにリハビリテーション手法の比較検討、等の膨大な資料を集約してデータベース化する。最後に「大規模木造橋梁設計指針及び維持管理指針」の提起を行う。本研究は、木材が本来所有している材料特性に注目している。すなわち、比重が小である木材を主構造にした橋梁は、上部工自体の自重が小であるために必然的に下部工自体も小規模となるため、震災に対してきわめて有効となる。また、不幸にして被災した場合でも、重量が小であるため、きわめて短時間に保守あるいは撤去が可能という視点からも、鋼、コンクリートに比較してむしろ有利である。さらに、木材の比重を勘案すると、圧縮、引張強度とも鋼の約5倍強、比熱も約3倍と、火災時等の災害にもきわめて有効な橋梁主要構材といえ、阪神、淡路の大震災並びに我が国が地震国であることからも、その将来性が期待できる。また、内外の木造橋梁、木質物性等に関する各種情報の交換、木造構造物独自の技術内容の学習、将来の大型木造橋梁建設に向けての各種技術、および集成材の研究、大規模木造橋梁の建設などに必要不可欠なファクターを抽出すること、また、木材独自の物性をいかに数値解析手法に乗せるか、等数々の研究課題が挙げられる中で活発に活動している。
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