| 研究概要 |
本研究は,大規模で複雑な構造体に対する超音波非破壊検査の定量化を目的として,波動解析法の開発,探触子の特性評価,実験データへの応用を行うものである.本年度はこの内,1.探触子の特性評価の高制度化を行うと共に,2.これまでに開発された波動解析法を様々な実験データに適用した.1.探触子の特性評価の高精度化においては,前年度に引き続き,水中で計測した圧力波形から探触子の振動モードを推定する逆問題を解析した.その際,問題の次元を大きくしたり,遠方で計測されたデータを用いると逆解析が不安定になるという現象が生じたが,Tikhonovの正則化項を負荷することにより安定な解が得られることがわかった.また,レーザー振動計で直接測定した振動モードと同等な解が得られ,本逆解析手法が妥当であることが確認された.2.波動解析法の実験データへの応用においては,これまで開発された波線理論-境界要素法,あるいは,波線理論-差分法の結合解法を段差部,スリット,溶接余盛,丸棒内の欠陥など様々な実験供試体に適用し,実験波形と計測波形を比較して解析手法の有用性を確認した.特に,斜角探触子を用いる場合,送信,受信の両探触子のモデル化において,探触子の接触面における位相差を考慮することが重要であることがわかった.また,厚板内の欠陥に対して数値シミュレーションと実験を行い,線形化逆解析によって欠陥形状の画像化を行った.そして,本年度は本研究の最終年度であるので,平成10年度から3年間の研究の総括を行った.
|
