研究概要 |
本研究では,RC床版の破壊要因として輪荷重の繰返し載荷に着目し,疲労破壊機構に関する実験的研究を行った。今年度は静的試験,定点疲労試験,移動疲労試験を200×150×10cmの床版を対象に実施した。測定項目は,荷重,内部鉄筋のひずみ,破壊面の観察,疲労破壊回数などである。まず静的押抜きせん断強度は14.5tfであったことに基づいて,その40,44,50%の荷重において移動疲労試験を行った。 その結果,破壊回数はそれぞれ12万5446回,1万2932回,2万6786回であった。これは床版の定点疲労試験に関する既往結果と比較した場合,かなりの疲労強度の低下を意味する値であった。すなわち,定点疲労試験では実際の荷重形態を考慮した場合の再現ができていないことが判明した。しかしながら供試体数がまだ少ないため,今後もさらに追加試験を行う必要がある。 しかしながら,当初は今年度中に定点疲労試験を15供試体,移動疲労試験を1供試体行う予定であったことから考えると,順調な経過といえる。しかしながら定点疲労試験においては試験機が故障し,修理に長時間かかったことなどのトラブルが発生し,予定の供試体数を消化できなかった。よって来年度に追加実験を行うこととした。 また,床版下面のひび割れは,走行回数の増加に伴って格子状のパターンを形成し,ひび割れ幅はコンクリートのひび割れ面内部の摩擦によっても大きくなることがわかった。これは定点疲労試験の場合とは全く異なる挙動であり,これらのことが疲労強度の低下につながるものと考えられる。内部鉄筋のひずみについては,走行回数1,000回から1万回において急激なひずみ増加が確認され,内部ひび割わの進展が著しい走行回数の範囲が推察された。
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