研究課題/領域番号 |
10555157
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
浜田 純夫 山口大学, 工学部, 教授 (30164908)
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研究分担者 |
阿部 宗人 株式会社ピー・エス, 技術研究所, 所長
松尾 栄治 山口大学, 工学部, 助手 (10284267)
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キーワード | プレキャスト床版 / 合成構造 / RC継手 / 鋼板 / H型鋼 |
研究概要 |
橋梁建設においては、現場作業の省力化や工期短縮などを目的として、プレストレスト床版の使用頻度が増加している。プレキャスト床版相互の継手方法には大別してPC継手とRC継手があり、一般的にはRC継手工法としてループ構造継手が用いられるが、継手部の主鉄筋配置の煩雑さなど、施工性に問題を抱えている。そこで本研究では、鋼材により継手部分を合成構造にした新しい現場継手構造を考案し、施工の簡素化と強度の向上を期待した供試体を試作し、その継手部における静的強度および疲労強度について検討を行った。 その結果、継手部が存在することにより押抜き強度は20%程度低下した。しかし、本研究で考案した合成構造継手にすることにより強度改善が可能なことが確認できた。すなわち鋼板継手により継手のない床版と同等の静的強度が得られ、H型鋼補強にした場合は補強なしの場合の2倍以上の強度になり、これは継手のない床版に比べても約1.7倍の強度を有することが明らかになった。 また疲労強度に関しては、継手部分をH型鋼や鋼板により補強することで、継手のない床版と比較しても、同程度以上の静的押し抜き強度を満足し、道路橋示方書における重ね継手に対する所定の長さよりも大幅に短縮することができ、経済性向上にもつながること、定点繰返し載荷試験において、H型鋼により補強を行った継手部の100万回疲労強度は、継手のない床版の静的強度の85%と最も高い疲労強度が得られ、十分な疲労耐久性があることなどが明らかになった。また、疲労強度を比較する場合に静的強度が実用的な範囲から大きく外れる場合は各供試体の上限荷重の絶対値でS-N曲線を描き評価することを提案した。さらに、疲労に対しても波形のせん断キーを用いることで付着は向上し、継手部とプレキャスト部の一体化は良好になることなどがわかった。
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