| 研究概要 |
橋梁床版は構造上から継手が必要であり,強度的な弱点となっている。本研究では,この床版継手の補強方法を開発することを目的に,静的強度試験および定点疲労試験を実施してその強度性状を明らかにした。まず基礎研究として継手部下面に鋼板あるいはH型鋼による補強を行うことで,施工の簡略化と耐力の大幅な向上が可能なことを示した。すなわち鋼板補強により継手なしと同程度の強度が確保され,H型鋼補強により強度はさらに飛躍的に増加した。長支間構造への対策として適用が有望な軽量床版については,その静的押抜き強度算定方法を検討し,軽量コンクリートの弱点である引張強度が床版の強度低下へ大きく反映することからPC構造にするべきことなどを理論的に明らかにした。
さらに展開的研究として実用的な詳細設計を行い実験を行った。すなわち形鋼およびCT形鋼などの成形型鋼を利用することにより製作工の低減を図った長支間合成床版を開発し,輪荷重走行による耐荷力試験を行った。また,スタッドを床版下面に群配置することで従来のプレキャスト床版に比べて施工性が向上し,床版にスタッド用の開口部を設ける必要がないことから耐久性の向上が期待できるチャンネル型プレキャストPC床版についても同様の耐久性試験を実施した。その結果,長支間合成床版においては,既往のS-N曲線上に対応することから,はり状化したせん断耐荷力の比率にて表現できることなどがわかった。また,チャンネル形プレキャストPC床版の実験結果からは,リブ部のずれ止めは十分な強度を有し,間詰め部のスタッド配置は道路橋示方書に準して設計すれば十分な性能を確保できることがわかった。また曲げ試験の結果,リブ部の支圧耐力は支圧面積と支圧強度の積で評価することができ,チャンネル形プレキャスト床版を鋼合成桁に適用する場合,床版と間詰め部分のずれ止めに対しては間詰め部モルタルの支圧耐力に基づいて,間詰め部と鋼桁間のスタッド配置に対しては道路橋示方書のずれ止めの設計式を用いて設計すればよいことがわかった。
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