研究課題
基盤研究(B)
今年度は、昨年度の海外調査等の結果も踏まえて、最近の性能設計への動きと、限界状態設計法の普及を考慮しつつ、日本で統一された基礎構造物設計コードを作成することを提案し、またそのコードを一部ドラフトした。このコードは、通称「地盤コード21 Ver.1」と名付けられた。「地盤コード21 Ver.1」は、次のような諸点に特に配慮して作成された。1.コードの統一は、従来の主要な設計基準と同じレベルに立ったもう一つの設計コードを書こうという視点では達成されない。Eurocodeがそうであるように、従来の設計コードより一段上のレベルに立ったコンセプトが必要である。このため「地盤コード21 Ver.1」は、「包括設計コード」という新しい概念を創出した。性能設計も、限界状態設計法もこのコンセプトの構成要素である。2.「包括設計コード」はこのコードを基に、構造物の完全な性能規定型の照査に用いることも可能であるし、またこのコードに基づいて各行政機関/地方公共団体/事業主体が、設計コードを書くときその指針となる、いわゆる「A code for code writers」の役割を担うように考えられている。3.従来の設計コードが工業的に規格化された製品に基づく構造物の設計者の主導により開発されてきたため、地盤に関係した設計に用いる種々の値の決定方法に重大な不備があった。「地盤コード21 Ver.1」では、特にこの点に関して地盤工学者の側から積極的、かつ大胆な提案を行っている。4.「地盤コード21 Ver.1」のような包括設計コードでは、各種の構造物の設計においては、最新の技術的な進歩に基づいた、各構造物の設計に当たっての検討事項を過不足なく網羅するように記述されるべきである。記述は定量的であるが、性能照査型の設計または、新たなコード作成においてチェックリストの役割を担う。「地盤コード21 Ver.1」では、これを「杭基礎の設計」について実験的に作成した。
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