研究課題/領域番号 |
10555189
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大垣 進一郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (20005549)
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研究分担者 |
片山 浩之 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00302779)
大瀧 雅寛 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (70272367)
神子 直之 茨城大学, 工学部, 助教授 (70251345)
矢野 一好 東京都立衛生研究所, 環境保健部, 主任研究員
古米 弘明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40173546)
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キーワード | PCR / ウイルス / 水中微生物 / 検出 / 濃縮 / ゲノム / 陰電荷膜 / 酸洗浄 |
研究概要 |
1. はじめに 水の微生物学的安全性を確保するための重要課題として、水系感染性の腸管系ウイルスが挙げられる。ウイルスを検出する方法としてはPCR法が簡便性および検出感度に優れている。一方、既存のウイルス濃縮法は、PCR法による検出に適していない。ここでは、RT-PCR法による検出を前提としたウイルス濃縮法(陰電荷膜吸着・酸洗浄・アルカリ誘出法)の開発を試みた。 2. 実験方法 モデルウイルスとして、大腸菌RNAファージQβを用いた。QβのゲノムRNAは、TaqMan PCR法を用いて定量し、ウイルス濃縮法の回収率を算出した。濃度既知のQβ液の100^<0.5>倍希釈列を毎回作成し、TaqManPCRの蛍光強度とQβ濃度の対数に直線関係を検量線としてQβゲノムを定量した。 ウイルス濃縮の陰電荷膜として混合セルロース膜(口径47mm、公称孔径0.45μm)を滅菌して使用した。MgCl_250mMを加えたろ過原水を約100ml/minでろ過したのち、pH5程度の希硫酸溶液を洗浄液として膜にとおした。誘出工程では、pH12程度のNaOH溶液5mlを同じ膜でろ過し、ろ液を回収して中和した。 3. 実験結果および考察 ウイルス濃縮法開発の実験結果の例として、洗浄液量と回収率の関係を以下に記す。希硫酸による洗浄液量が500〜1000mlのときに、Qβゲノムの回収率が高かった。この範囲では、吸引ありの誘出工程の方が高い回収率(45%、標準偏差19%)を示した。また、洗浄掖量を2000mlに増やしても効果はなかった。ろ過原水1000mlを用いた場合、洗浄液量500mlでQβゲノムの回収率は19%であった。
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