研究分担者 |
荒木 信夫 長岡工業高等専門学校, 環境都市工学科, 助教授 (30193072)
関口 勇地 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (20313570)
原田 秀樹 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (70134971)
屋井 裕幸 東急建設(株), 技術本部・第5課, 研究員(研究職)
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研究概要 |
開発途上国では,都市への人口集中によって都市域の水質汚濁問題が深刻化し,生活環境の悪化のみならず,健康への脅威にもなっており,"適切"な下水処理システムを整備してゆくことが緊急課題となっている。途上国での下水処理システムを普及させていくためには,地域の経済構造,社会構造等の実状に適した技術を創生しなければならない。本提案処理プロセスは,UASB法とスポンジ型リアクターを組み合わせた,エアレーション不要・余剰汚泥生成ゼロの省エネルギー・低環境負荷型の新規下水処理装置であり,途上国に適用可能な超低コスト型新規下水処理システムの実用化に向けた技術の創成を目的としている。 新規下水処理装置のスケールアップでの実用化を図るため,カーテン型に改良したリアクターを考案し,セミパイロット・スケールを下水処理場に設置し実下水を用いて長期の連続処理を実施した。本処理プロセスは2ヶ年間,汚泥を一切引き抜かず,余剰汚泥発生ゼロであり,水質は良好であった。また,硝化・脱窒能力も優れているだけでなく,大腸菌群や大腸菌ファージの除去能があることが分かった。さらに,負荷変動に対する処理許容能力,回復能力をステップ実験により調べた結果,2,3割高い負荷においても,処理性能に全く問題はなかった。しかも,一時的に過剰の負荷がかかっても,短時間に容易に回復した。 スポンジ型リアクター内での浄化機構を表現する数学的モデルを構築し検証することで,スポンジ内部にも酸素が供給され,高濃度に微生物が保持されて,良好な処理性能が得られる浄化機構を明らかにした。このモデルを用いることで実用化に向けた装置開発が可能となった。
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