研究課題/領域番号 |
10555210
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮崎 修一 筑波大学, 物質工学系, 教授 (50133038)
|
研究分担者 |
石田 章 金属材料技術研究所, 主任研究官
野村 邦明 筑波大学, 大学院・工学研究科, 学振特別研究員
|
キーワード | Ti-Ni / 形状記憶合金 / 薄膜 / マイクロアクチュエータ / マイクロマシン |
研究概要 |
今年度は、Ti-Ni合金薄膜をスパッタリング法によりSi基盤上に作製し、記憶熱処理および変態特性評価を行った。用いたターゲットはTi-Ni合金である。まず、真空熱処理炉を用いて、熱処理温度と処理時間を系統的に変えて形状記憶処理を行い、変態特性に及ぼす熱処理効果を調べた。その結果、変態温度は熱処理温度が高くなる程上昇することが判った。次に、フォトリソグラフィ法を用いて、アクチュエータ構造を作製した。Siを異方性エッチングすることにより、アクチュエータ部が膜厚が2ミクロンのTi-Ni薄膜と1ミクロンのSiO2膜とから構成された構造ができた。形状記憶特性は大別して3つの側面があり、1つは結晶構造変化、2つめはマルテンサイト変態特性であり、3つめは変形挙動である。結晶構造変化は、変態特性と形状記憶特性を支配するため基本的に重要であり、広い範囲で測定温度を変えると共に薄膜専用の装置と定性定量分析機能を備えた高性能のX線回折装置での精密測定を行った。変態特性のうち変態温度と変態熱は、高感度示差走査熱量計で測定した。R相とM相の二つの変態が室温以上で認められた。これらは、各種温度におけるX線回折測定の結果により割り出した変態温度とほぼ一致した。変態温度通電加熱及び放熱中の変形挙動は、高さ測定の可能な光学顕微鏡で行った。加熱によりフラットな形状に回復し、放熱により数十ミクロンの高さに盛り上り、可逆的な動きが確認できた。以上の結果、室温以上の温度で作動するマイクロアクチュエータの作製が可能になった。
|