研究課題/領域番号 |
10555211
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松原 英一郎 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90173864)
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研究分担者 |
邑瀬 邦明 京都大学, 工学研究科, 助手 (30283633)
林 好一 京都大学, 工学研究科, 助手 (20283632)
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キーワード | ラジオグラフ / X線透過写真 / 吸収端 / イメージングプレート / 元素選択性 |
研究概要 |
X線の透過強度は、物質固有の吸収係数と物質の厚さで決まり、透過強度の違いによって生じる透過像の濃淡から物質内部の構造を知ることができる。この技術はラジオグラフと呼ばれ、医療や産業の非破壊検査など様々な分野で利用されてきた。このラジオグラフ技術に、物質固有のX線吸収端での吸収係数の不連続ジャンプに起因する透過強度の差を利用し、吸収端前後での透過像の差を実験的に決定することによって、ある特定の元素を含む組織だけのラジオグラフを得る技術を開発するための試験研究を行うことが本研究の目的である。初年度である平成10年度は、まず、通常のX線透過写真では透過像にほとんど差が見られない吸収端の近いFe、Ni、Cuなどの金属箔を用いて、イメージングプレート上に観察されたそれぞれの吸収端前後での透過像を測定し、予想される元素選択的な透過像が得られるかどうかを検証した。この研究では、特に、吸収端前後の異なる入射エネルギーで測定された像の規格化の方法、強度差解析に必要な測定データの統計精度の見積、解析方法の確立に主眼をおいて研究を進めた。その結果、まず規格化の方法としては、入射強度のモニターカウンター強度による規格化が有効であることが分かった。次に、測定データの統計精度は、イメージングプレートによる測定が許す限り、できるだけよい精度で測定を行うことが必要であることが分かった。最後に解析方法であるが、既存のデータ解析プログラムで解析できることを確認したが、画像データが非常に大きいために、使用するコンピュータは十分なメモリーを搭載したできるだけ解析能力の高いコンピュータを用いることが望ましいことが分かった。これらの結果を基に、次年度は、実際的な試料での測定に拡張していく予定である。
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