研究課題/領域番号 |
10555214
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
桑原 誠 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40039136)
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研究分担者 |
松本 和順 住友金属鉱山(株), 中央研究所, 主任研究員
松田 弘文 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (00282690)
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キーワード | ピエゾ抵抗効果 / チタン酸バリウム / セラミック細線 / 弾一粒界 / PTCR / ゾルゲル法 / 強誘電ドメイン / 圧力センサ |
研究概要 |
これまでの研究で、10-20μmのBaTiO_3半導体の単一粒界が室温でゲージファクターで10^7を超える巨大なピエゾ抵抗効果を示すことを明らかにしてきたが、本研究ではこの特性を用いた高感度圧カセンサの開発を目指した基礎研究を行うことを目的としている。以下に本年度で得られた成果を記す。 1) 動的ピエゾ抵抗効果の測定法の確立: BaTiO_3半導体単一粒界細線を用いた高感度圧力センサの開発には、ピエゾ抵抗特性の検出方法について確立することが不可欠である。本研究で、ピエゾアクチュエータを用いた周期的圧力の印加方法を確立し、BaTiO_3細線のピエゾ抵抗特性は用いたアクチュエータの上限周波数である30kHzまで十分に応答することを確認した。 2) ドメイン形態の観察とピエゾ抵抗効果の機構解析: 周期的圧力を印加した状態での単一粒界細線におけるドメイン観察を偏光顕微鏡を用いて行った。その結果、90゚ドメイン壁が圧縮及び引張り圧力の印加に対応して試料中を移動し、それが粒界に達すると粒界部でのドメイン形態が瞬時に大きく変化し、これに呼応して抵抗が変化することを見出した。さらに、偏光顕微鏡を用いた消光位の観察から、粒界部における強誘電ドメイン内の自発分極軸の方位を決定した。この結果から、自発分極による表面電荷の補償の程度により粒界障壁層高さが決定され、その圧力依存性によりピエゾ抵抗効果の機構が説明できることが明らかになった。 3) ゾルゲル法を用いたゲル細線の調製: 適当量のバインダーを添加した高濃度の金属アルコキシド前駆体溶液から曳糸し、直径50μm程度のゲル細線を作製した。この細線は従来の粉体を用いた細線よりはるかに易焼結性で、1100℃の焼成で十分に粒成長した粒子から成るセラミックス細線が得られることが分かった。
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