研究課題/領域番号 |
10555215
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八島 正知 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (00239740)
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研究分担者 |
垣花 眞人 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 助教授 (50233664)
佐々木 聡 東京工業大学, 応用セラミック研究所, 助教授 (10162364)
清水 良祐 愛宕物産, ラマンシステム部, 部長
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キーワード | ラマン散乱 / 紫外 / ラマン分光 / 構造 / 相転移 / その場観察 |
研究概要 |
セラミックスをはじめとする材料は高い温度で合成されたり、使用されることが多い。材料の特性や合成プロセスはその材料の構造や生成相と密接に関係しているので、試料を高温に保ったまま構造をその場観察、いわば実況中継できれば、より良い合成条件や使用法を見いだすのに役に立つはずである。ラマン分光法は、そのような、その場観察に適している。しかし高温下の物体からは熱輻射による強い連続的なバックグラウンドが出るため、比較的強度の弱いラマンスペクトルを測定するのは極めて困難である。本研究では、より低い波長域を利用する紫外(UV)励起法が、熱輻射の悪影響を大幅に軽減できることを報告する。 ラマン散乱を紫外レーザー(UV,363.8nm)により励起した。比較のため可視レーザー(488.0nm)による実験も行った。本研究で用いた高温測定用のUVラマン散乱システムは次の特徴を有している。 1.波長が363.8nmのUVレーザーによりラマン散乱を励起する。2.試料室と分光器の間に空間フィルターを配置した。 高温部からの熱輻射の影響を調べるために、見かけの熱輻射スペクトルを測定した。ここで、試料室にレーザー線は導入せずに測定を行った。本UVラマンシステムにより測定された見かけの熱輻射バックグラウンド強度は、プランクの式に従い、温度の増加と共に急激に増加する。熱輻射バックグラウンド強度は、波長とラマンシフトの増加と共にも増加する。例えば1200℃で、UVラマン測定,での1000cm^<-1>のラマンシフトでは 6counts/sであった。一方、488.0nmでの同じ1000cm^<-1>のラマンシフトでは618counts/sであった。それゆえUV励起により、高温でのその場ラマン散乱測定の温度の限界を向上させることができたのである。
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