研究課題/領域番号 |
10555217
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
箕田 雅彦 京都大学, 化学研究所, 助手 (30229786)
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研究分担者 |
宮路 史明 京都大学, 工学研究科, 助手 (80219782)
小久保 正 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027049)
宮本 武明 京都大学, 化学研究所, 教授 (60027050)
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キーワード | 骨類似アパタイト / バイオミメティック法 / 擬似体液 / シラノール基 / エチレン-ビニルアルコール共重合体 / カルボン酸カルシウム塩 / カルボキシメチル化セルロース / カルボキシメチル化キチン |
研究概要 |
本研究の目的は、生体内での骨形成のメカニズムに倣ったバイオミメティック法を利用して、種々の有機高分子とアパタイトとの複合体を調製し、新規骨修復材料を開発するところにある。本科学研究費補助金による平成10年度の研究では、アパタイトの核形成を誘起することが示唆されているシラノール基(Si-OH基)が導入された有機高分子表面へのアパタイト形成挙動を検討した。併せて、バイオミメティック法によるアパタイトとの複合化をより効率的になし得るような高分子基材の設計を行った。得られた成果を以下にまとめた。1.エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)の基板に、スズ触媒を用いてOCN(CH_2)_3Si(OEt)_3を反応させ、次いで酸加水分解することで、表面にSi-OH基が導入された高分子基板を調製した。この基板自体は、ヒトの体液と同じイオン濃度、および1.5倍のイオン濃度を有する擬似体液(各々SBF、1.5SBF)中でアパタイトを生成しなかった。しかし、さらに酸触媒下、トリエトキシシラン処理して表面をシリケート層でコートした基板では、1.5SBF中、3週間以内で骨類似のアパタイト層が形成することが明らかとなった。2.次いで、アパタイト形成をより効率的に引き起こすような官能基としてカルボン酸のカルシウム塩を選び、多糖系材料とアパタイトとの複合化を検討した。カルボキシメチル化したセルロースならびにキチン(各々CMC、CM-キチン)を化学架橋して調製したゲルをCa(OH)_2飽和水溶液で処理して得たゲル試料は、共にSBFへの浸漬後3〜4日目でアパタイトの核形成が観察され、ざらに表面に一様に骨類似アパタイトが生成することを見いだした。また、ゲル表面のみならず内部(深さ約200μm)にまでアパタイトの形成が確認され、本法が高分子-アパタイトの簡便で効率的な複合化に極めて有効な方法であることを明らかにした。
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