研究概要 |
本年度は,まずLB(Langmuir-Blodgett)膜を利用した球状セラミックス微粒子の単粒子膜の調製を行った。湿潤空気中で酸化処理を施したシリコン基板あるいはガラス基板の表面に1,12-ドデカンジカルボン酸(HOOC(CH_2)_<12>COOH,DDCA)のLB膜を形成した後,基板表面の水酸基とDDCAの片方の末端カルボキシル基とを脱水縮合させ,基板表面にLB膜を安定化させた。得られたDDCA修飾基板を,数100nm径の均一セラミックス微粒子(SiO_2あるいはSiO_2-TiO_2)懸濁ベンゼン中で熱処理して,微粒子表面の水酸基とLB膜表面に存在する未反応末端カルボキシル基とを脱水縮合反応させることにより,LB膜表面にセラミックス単粒子層を形成した。このように,安定性の高い有機-無機ハイブリッド構造[球状セラミックス粒子単粒子層/LB膜(DDCA)/基板表面]が構築できた。 また,前年に引き続き,半導体ガスセンサ材料として最も利用されている酸化スズをメソポーラス化することにより,反応場およびガス拡散経路を制御することを試みた。メソポーラス酸化スズの調製には,カチオン界面活性剤としてセチルピリジニウムクロリド(C_<16>PyCl),スズ原料としてスズ酸ナトリウム(Na_2SnO_3)を用いた。これらをイオン交換水に溶解・混合してメシチレン(1,3,5-トリメチルベンゼン,MES)を添加後,HClを用いてpHを調整したものを20℃で3日間放置した。その後,得られた酸化物をリン酸処理後,焼成した。得られたメソポーラス酸化スズは,X線回折測定から600℃焼成後も約3.2nm幅の規則性メソ細孔を有することを確認した。さらに,比表面積が305m^2g^<-1>と非常に大きく直径約1.6nmに最大値を有する細孔を有することを明らかにした。
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