研究概要 |
毒性の指摘のない元素であるNb,Ta,Zr,MoあるいはSnを構成元素とする医療福祉器具構成用の高生体融合性β型チタン合金の設計を行い,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金の組成を決定した。この他,ZrをMoあるいはSnで置き換えた生体用β型チタン合金の設計も行った。特に,Ti-29Nb-13Ta-4.6Zr合金については,実用サイズインゴットを溶製し,熱間鍛造,冷間加工,熱処理を施した。その基本的機械的性質を評価したところ,生体用材料に要求される機械的特性を十分満足することがわかった。従来の生体用チタン合金よりも弾性率を低くすることができ,骨の弾性率により近い合金とすることができた。本合金は,加工および熱処理の組合せによる加工熱処理にて,さらに力学特性を向上させることが可能であることも判明した。疑似生体内環境での本合金の摩擦特性についても検討したところ,相手材によって,磨耗特性が変化することがわかった。相手材がZrO_2である場合,本合金の磨耗特性は,従来の生体用チタン合金であるTi-6Al-4V ELIに比べて,より優れることを明らかとした。
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