研究概要 |
本年度の研究実績は,以下の通りである. (1)次年度以降で,セラミックスの製造欠陥から成長するき裂の発生段階を検出できるよう,フラクトエミッション計測系を整備し,予備実験を始めた. (2)セラミックスの製造欠陥から成長するき裂の発生までの段階で蓄積されているであろう微視的損傷を検出できるように,原子間力顕微鏡の下で静疲労試験を行いながら,試験片表面をその場観察するための実験システムを整備した.このシステムを用いて,最大1000時間までのき裂発生源(介在物)周辺の微視的表面損傷を計測した.その結果,静疲労下では,原子間力顕微鏡で検出可能な損傷の蓄積は無いことがわかった. (3)レーザー顕微鏡式その場観察システムを用いて,窒化ケイ素セラミックスの製造欠陥(介在物)から微視き裂(長さ20ミクロン程度以下)を発生させ,そのき裂に最大10000サイクルまでの繰返し応力を負荷し,繰返し応力負荷前後の微視き裂の様相の違いを,原子間力顕微鏡式その場観察システムで観察した.その結果,局所的ではあるが,応力繰返し数の増加とともに,摩耗粉のようなものが堆積していくのが観察された.
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