研究課題/領域番号 |
10555235
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
牧野 英司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70109495)
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研究分担者 |
植木 眞琴 株式会社 三菱化学ビーシーエル, ドーピング検査室, 室長兼部長(研究職)
上舘 民夫 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70185990)
柴田 隆行 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (10235575)
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キーワード | マイクロ分析システム / 微細プロセス / マイクロポンプ / マイクロ混合器 / マイクロリアクター / 生理活性物質 / マイクロ化学発光反応 |
研究概要 |
医療診断用のマイクロ分析システムの開発を目的として、微細プロセスによる要素デバイスの実現と微量検体によるマイクロ発光分析の検討を行った。 TiNi形状記憶合金薄膜ダイアフラムをアクチュエータとするポンプに関して、Si異方性エッチングと直接接合によって順方向の流路抵抗が逆方向の約1/300という高い方向性をもったバルブ(逆止弁)を形成した。次いで、TiNiアクチュエータ(5mm×5mm)とチェックバルブを一体化して、10mm×15mm×1.4mmのマイクロポンプを形成した。このポンプの最大吐出圧力は数百kPa、最大流量は約5μL/minであった。 流量測定のために、Si基板上の幅1mmのチャンネル上に幅40μmの3本のPt薄膜ブリッジ(中央はヒータ、両側は測温低抗体、抵抗約250Ω)を形成し、この上に同様のチャンネルをもつガラス基板を陽極接合してマイクロフローセンサを作製した。試薬の混合を促進するための圧電混合器に関して、スパッタリングによるPZT圧電薄膜の形成を行い、ペロブスカイト構造を得るための成膜後のアニールの昇温速度の重要性を明らかにした。昇温速度10℃/s以上でアニールした場合、圧電定数d_<31>は約100pC/N(バルクで123pC/N)であった。 Si基板上に形成した種々のマイクロチャンネル(幅200μm〜2mm)を用いて、生理活性物質エピネフリン(アドレナリン)と化学発光物質ルシゲニンの間のマイクロ化学発光反応を検討した。いずれのチャンネル形状においても、反応開始から数minで一定の発光強度となった。20〜400μmL/minの範囲で流量の影響を検討し、低流量域では反応試薬の拡散によって、また高流量域では2液の混合によって反応が促進され発光強度が増大することを明らかにした。発光反応によって1×10^<-7>Mの濃度までエピネフリンを検出できることを見いだした。
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