研究課題/領域番号 |
10555237
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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研究分担者 |
新井 敦 佐々木硝子株式会社, 課長
和田 健二 無機材質研究所, 主任研究官
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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キーワード | アルミニウム陽極酸化分離膜 / ゾル / ゲル被覆 / ジルコニウム酸化物 / 電気透析 / クロム酸イオン / 有機染料 / 分離特性 |
研究概要 |
Al陽極酸化皮膜を支持膜に用い、ゾル/ゲル法により細孔壁表面にZr酸化物を被覆することにより細孔径が縮小され、かつ耐酸性が付与された分離膜を作製し、その分離膜を用いた電気透析によるクロム酸イオンの分離特性について調査した。支持膜には、細孔径が20nmで膜厚が64nmの市販のものと、Al基板をスルホサリチル酸-硫酸混合水液中にて定電圧電解後、逆電剥離法により作製した細孔径が約1nmで膜厚が94μmのものを用いた。これらの支持膜を、モル比でZrテトラ-n-ブトキシド:ジエチレングリコール:イオン交換水:脱水エタノール=1:2:2:50の割合に調整したゾル溶液に浸漬し、一定速度による引上げ、大気中乾燥、573Kの加熱処理または常温における紫外線照射からなる操作を1〜5回繰り返すディップコーティングに供した。電気透析実験では、硫酸ナトリウム水溶液(7×10^<-4>mol/l)の陽極室とクロム酸(IV)水溶液(0.2mol/l)の陰極室との間に分離膜を置き、両極室の電極間に30Vを加え1.8ksの透析を行い、次式から分離率を求めた。分離率=(透析前の陰極室中のCr^<6+>濃度-透析後の陽極室中のCr^<6+>濃度)/(透析前の陰極室中のCr^<6+>濃度)×100(%) その結果、細孔径が20nmの陽極酸化皮膜を用いた場合の分離率は、ゾル/ゲル被覆前では0%であったが、1回の被覆により90〜93%に著しく増加した。一方、細孔径が1mmの陽極酸化皮膜の場合の分離率は、被覆前にすでに88〜90%の分離率を有していたが、1〜2回の被覆を行うと95〜99.5%まで増加した。また、細孔径の異なる二つの分離膜を用いた装置により、クロム酸(IV)と有機染料(赤色106号)を含む混合溶液からクロム酸(IV)と有機染料の電気透析による分離を試みたところ、混合溶液からのクロム酸(IV)と有機染料の分離が確認された。
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