研究課題/領域番号 |
10555237
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
平井 伸治 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10208796)
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研究分担者 |
新井 敦 佐々木硝子株式会社, 課長
和田 健二 無機材質研究所, 主任研究官
嶋影 和宜 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005346)
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キーワード | Al陽極酸化メンブレン / ゾル-ゲル被覆 / Zr酸化物 / アルブミン / M13バクテリオファージ / 除去率 |
研究概要 |
ゾル-ゲル被覆により細孔径を制御したAl陽極酸化分離膜を用い、M13バクテリオファージを混入させたアルブミン溶液からの簡易的な圧透析法によるヒト血清アルブミンとM13バクテリオファージの分離の可能性について調査した。指示膜には、膜厚が64μmで細孔径が20nmと100nmの二種類のAl陽極酸化分離膜を用いた。この指示膜を、Zr酸化物を被覆する場合はZr(n-OBu)_4:DEG:H_2O:EtOH=1:2:2:50、水酸アパタイトを被覆する場合はCa(OEt)_2:P(OEt)_3:EG:Et-OH:H_<>O:DEG=10:6:359:942:2.5:10の各々のモル比に調整したゾルに浸漬し、一定速度による引き上げ、自然乾燥、573Kの加熱処理からなる操作を2〜6回繰り返すディップコーティングに供した。分離実験では、最初にメチレンブルー水溶液、次にヒト血清アルブミンを1%含む水溶液を用いて分離膜の各々の透過時間が0.24ksまでの透過性を確かめた上で、大きさが約φ6×850(nm)のM13バクテリオファージを5.4×10_5個/mlの割合で添加したアルブミン溶液からの圧透析法による分離を行った。メチレンブルー水溶液および1%アルブミン水溶液を用い各々の流量が5ml/minの透過実験の結果、全ての分離漠において透過率が90〜100%の良好な透過性が確認された。なお、いずれの分離膜においても、目詰りに起因した水圧の変化は見られなかった。アルブミン溶液からのM13バクテリオファージの分離実験では、Zr酸化物と水酸アパタイトの何れの場合も、2回のコーティングにおいて分離率が最も増加し、その分離率は86〜90%に達したが、コーティング回数の増加とともに次第に分離率が低下する傾向が認められた。今後、分離膜を直列に複数並べるなどの方法を取れば、一層の分離率の向上が期待される。
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