研究概要 |
1. 研究目的 近年の各種新材科の開発および新技術の発展に伴い,環境中でありのままの状態にある表面を,非接触,非破壊的,かつリアルタイムで測定・解析できる高度な表面分析法の開発が望まれている。本研究では,(1)2次元のCCDイメージセンサと波長可変光源を組み合わせることで,高速顕微エリプソメトリー測定が可能なダイナミックイメージング分光エリプソメータ(DISE)を開発すること,および(2)DISEを用いてステンレス鋼および炭素鋼の孔食発生過程における表面不働態皮膜の厚さと分光学的性質の場所的ミクロ変化を明らかにすることを目的とする。 2. 研究成果 (1)ダイナミックメージング分光エリプソメータの作製: 光源-モノクロメーター固定ポーラライザー(174波長板)-サンプル-回転アナライザー反射像拡大光学系-CCDイメージセンサから成る光学系を持つダイナミックイメージング分光エリプソメータを作製した。本装置により,測定波長をモノクロメータによって変化させながら、CCDカメラで反射像を測定し、エリプソメータ値の場所的ミクロ変化を波長の関数として得ることが可能になった。 (2) ダイナミックメージング分光エリプソメータの校正: 作製したエリプソメータの真のポーラライザ方位角およびアナライザ方位角を決定し、また迷光などによる誤差補正を行うため、熱酸化皮膜を形成したSi基板を用いて校正を行った。この校正にはAspnesによって提案されている残余関数校正法およびJohsらによって提案されている回帰分析校正法を適用した結果,両方法による校正値は一致することが分かった。。 (3) ダイナミックメージング分光エリプソメータの性能評価: 作製したDISEの最小測定所要時間は一波長当たり約5秒であった。また空間分解能は25μmであり、測定精度は通常のエリプソメータと同程度であった。
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