研究分担者 |
長柄 毅一 富山県工業技術センター, 主任研究員
中村 滝雄 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (60198215)
横田 勝 高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)
前 健彦 富山工業高等専門学校, 環境材料工学科, 教授 (10042821)
佐治 重興 富山大学, 工学部・物質生命システム工学科, 教授 (60029072)
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研究概要 |
<主な実施項目> 1.DCスパッタ法により作製したZr-N-O膜の色彩におよぼす作製条件の影響 2.高周波反応スパッタ法により作製したZr-N-Si三元系膜の機械的性質と構造. <結果> 1.DC反応スパッタ法を用いて,Ar, N_2およびO_2の混合ガス中でZrのスパッタ製膜を行い,Zr-N-O三元系膜の作製を試みた.ArとN_2の混合気流中で黄金色が得られる条件にAr流量を固定し,N_2およびO_2流量を変化させ,それぞれのガス流量と膜の色彩との関係を調べた.窒素流量の1/7と酸素流量との合計値が4sccm未満では暗褐色の膜になったが,それ以上の酸素,窒素流量になると透明な膜が得られた.また,窒素流量が8sccm以上,酸素流量が5sccm未満では黄色味を帯びた透明膜が得られ,酸素と窒素の流量制御で多様な色彩と分光特性を有する膜が得られることが明らかになった. 2.高周波反応スパッタ法を用いて,基板加熱や基板バイアスの印加は行わずにZr-Si-N三元系膜を作製し,その微細構造および機械的性質とSi濃度の関係を調べた.Si濃度が約3%付近で最も高い硬度を示し,平均で35GPa,最高で40GPaという値を得た.この膜の微細構造を透過電子顕微鏡で詳細に調べた結果,Ti-Si-N膜などで報告されているナノコンポジット膜ではなく,長さ20nmから100nmの柱状結晶で構成された膜であることが明らかになった.また,また,Si濃度が3%を超えると三元系膜の微細構造も変化し,柱状構造が消えて結晶粒は微細化すると同時に硬度も低下する.3%Siを含む三元系膜の高い硬度は,内部応力および格子定数のSi濃度依存性のピーク値が硬度のピーク値とほぼ一致することから,Si原子の非平衡サイトへの侵入による固溶効果によるものと考えられる.
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