研究課題/領域番号 |
10555253
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 福井工業高等専門学校 |
研究代表者 |
安丸 尚樹 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (90158006)
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研究分担者 |
太田 泰雄 福井工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (10042988)
伊部 壽夫 福井県工業技術センター, 新素材開発部, 主任研究員
沖村 邦雄 東海大学, 工学部電子工学科, 助教授 (00194473)
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キーワード | プラズマ処理 / 窒化 / セラミックコーティング / 表面処理 / 窒化クロム / クロム・ニッケル / 複合処理 |
研究概要 |
本研究では、アークイオンプレーティング(AIP)装置を用いて、主にCr系の高靭性セラミックス及びCrNi系のサーメット膜に対して数10μmの最適な厚膜化技術を開発し、耐摩耗性・耐食性・耐疲労性等の耐環境性を有する表面改質技術を開発することを目的としている。セラミックス膜としては、CrNを約20μmまで厚膜化してプラズマ窒化された試料に蒸着し、物理的性質や機械的性質を調べた。その結果、複合処理されたCrN膜は高荷重下でも非常に優れた耐摩耗性を維持するが、10μmの膜厚時が最も優れた耐摩耗性を示しており、それ以上の膜厚ではかえって耐摩耗性が低下することが判明した。さらに、高靭性化と厚膜化が期待されるサーメット膜をCr-Ni系の窒化物膜で検討した。すなわち、カソードターゲット材としてCr-Ni合金(CrとNiの合金比(mass%)=3:1、1:1、1:3)を用い、Cr^*N(セラミックス)とNi(金属)が微細に混合したサーメット膜を作製し、約35μmの厚膜時までの特性を調べた。膜硬度はCrNが約HV1900であり、CrNi-N系膜の硬度は、Ni含有量と共に低下した。CrNi-N系膜に関しては、Niを約10at%と少量含む膜の複合処理材が最も耐摩耗性に優れ、厚膜時までCrN膜の複合処理材以上の優れた耐摩耗性を維持することが見出された。Niを含む膜は、CrNのように厚膜化による摩耗量の増加現象は見出されなかった。また、Niを約30at%含む膜を被覆した未処理材は、複合処理材より摩耗量が低下し、窒化の前処理なしで優れた耐摩耗性を示した。本研究の成果により、セラミックス膜の応用範囲が、各種環境下の低硬度の金属まで広がることが期待される。
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