研究課題/領域番号 |
10555262
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
神谷 秀博 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (20183783)
|
研究分担者 |
横山 豊和 ホソカワミクロン(株), 粉体工学研究所, 所長
内藤 牧男 (財)ファインセラミックスセンター試験研究所, 副所長
堀尾 正靭 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (40109301)
|
キーワード | 石灰高効率発電 / 灰 / シリカ / 付着凝集 / 燒結 / 表面水酸基 / 脱塵 / 粒子間力 |
研究概要 |
前年度までに試作した粉体層法による高温灰付着性評価システムに雰囲気制御設備を設置し、一個粒子法粒子間付着力測定システムでは測定感度を改善した。石炭高効率発電などを想定した高温下における灰など無機系微粒子の付着性増加は、灰中のアモルファスシリカとNa,Kなどのアルカリ金属からなる融点800℃前後の成分が作る粒子間の微量液架橋に起因するという昨年度の成果に基づき、今年度は、灰の高温付着性の低減法に関する検討を開始した。基本的コンセプトとして、燃料である微粉炭に灰の高温付着性を低減する目的で添加剤を加え燃焼過程での高温固体反応により上述の低融点液相の生成を抑制する化学的手法、および、灰粒子表面にチャー超微粒子を析出させる、あるいは燃焼後に粗大粒子を混入して灰と表面挙動が異なる粒子を介在させ液架橋の形成を阻害し付着性を低減する物理的手法の二方面からアプローチした。前者では、本年度は、Caの効果に着目して微粉炭燃焼灰にCaOを数%添加し、微粉炭燃焼と同様な熱履歴を与えて溶融・固化させた粒子、および平板を用い、一個粒子法により、高温場での付着性に及ぼす温度、負荷荷重、荷重負荷・引張り速度の依存性を測定した。その結果、800℃付近から発生していた付着性増加が大幅に低減することが確認された。これは、Ca成分がアルカリ金属などと反応したため、液相生成温度が800℃付近から980℃に上昇したことによると予測される。また、後者では、炭素超微粒子の表面被覆効果、および粒子径数十μmのケイ砂粒子の混入による効果を粉体層法で評価した。その結果、超微粒子被覆法では液相生成温度である800℃以上で付着性の低減効果が認められた。また、粗大粒子を混入させる方法では、粉体層の破断強度は変化しなかったが、破断変位・仕事量が著しく低下し脆性的な破壊が起こることが確認され、いずれの方法でも灰粒子の高温付着性の低減に効果があることを示唆した。
|