本研究では実装化学工学の基盤を構築する。実装化学工学とは、半導体素子間の配線(配管)、パッケージング(装置仕様)を行い、個々の素子の性能を最終の電子機器に反映させることである。その中でも配管の役目をする高密度接続材料を電流密度分布の観点から検討した。また実装研究の普及を目的に化学工学会に実装プロセス部会を設立した(研究成果の図書・雑誌等報告書参照の事)。研究実績を以下に示す。 1. 高アスペクトキャビテイ内の対流と拡散 高アスペクト比のキャビテイへのバンプ形成に関し、数値流体解析で拡散律速下の電流密度分布を解析した。アスペクト比が大きくなると、電流密度分布は頂点が鋭く対称となる。キャビテイ外部での対流はその内部を有効に攪拌しなくなる。 2. CSP実装に用いる高アスペクトバンプと自然対流 CSPとフリップチップをめざしたアスペクト比の大きいキャビテイへのバンプ形成に関し、バンプ形成実験を行った。アスペクト比が1.0のキャビテイでは、カソードの設置角度の増大に伴いバンプの下端が盛り上がった。カソード上の密度差対流のため、キャビテイ外で大きな渦を発生する。この渦が再びキャビテイ内へと流入し、バンプ下端に衝突しバンプ下端部が盛り上がる。 3. バンプ形状制御と添加剤の影響-その実用特性 Chip on Glass(COG)では、周辺の盛り上がったバンプ形状が異方性導電膜中の導電粒子をより多く捕獲し接続特性を向上させる。周辺の盛り上がったバンプ形成には、セレン酸の添加が効果があり、形状変化はWa定数と二次電流密度分布とで説明出来る。
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