研究概要 |
本研究では高性能汎用ポリマーについてポリマー中の溶質の溶解度、拡散係数の測定を行い、測定値の蓄積を図ると共にこれらの推算法を確立し、ポリマー溶液物性のデータベースを構築することを目的とする。具体的には高性能汎用ポリマーを製造する際に重要である以下の物性値について測定を行い、これらの推算法を確立する。さらにこれらを基にデータベースの構築を図る。 1.高性能汎用ポリマー中の溶質の溶解度(気液平衡) ethylene + high impact polypropylene, propylene + high impact polypropylene ethylene + high impact polypropylene 中の hexane の無限希釈気液平衡比 propylene + high impact polypropylene 中の hexane の無限希釈気液平衡比 Sanchez-Lacombe(S-L)状態式により2成分系気液平衡を相関し、得られた相互作用パラメータを用いることにより、3成分系であるhexane の無限希釈気液平衡比が良好に推算できることが明らかになった。 2.高性能汎用ポリマー溶媒の液液平衡 hexane + polyethylene, ethylene + hexane + polyethylene S-L状態式により2成分系液液平衡を相関し、得られた相互作用パラメータを用いることにより、3成分系の液液平衡が良好に推算できることが明らかになった。 3.ポリマーのPTV poly(butylene succinate), poly(butylene succinate-co-adipate), polylactide 生分解性であるこれらの3種のポリマーの溶融状態における比容積がグループ寄与状態式により良好に推算可能であった。 4.高性能汎用ポリマー系溶液物性のデータベースの構築 上述の測定結果に既往の測定値を加えデータベース化を行った。この結果については、工業技術院計量研究所馬場哲也博士らが開発中の分散型熱物性データベースの一部として近くインターネットによる公開を予定している。
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