研究課題/領域番号 |
10555272
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
松岡 正邦 東京農工大学, 工学部, 教授 (40016671)
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研究分担者 |
内田 博久 東京農工大学, 工学部, 助手 (70313294)
滝山 博志 東京農工大学, 工学部, 講師 (40251582)
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キーワード | 光学異性体 / 光学分割 / 優先晶析 / 異性化反応 / スレオニン / BOC-ピペラジン / DOPA |
研究概要 |
医薬、食品などの分野において用いられる光学活性体には、鏡像異性体やジアステレオマーなどの光学異性体が存在し、目的に応じた生理活性体を分離することが必要となる。光学分割の代表的な手法として、ラセミ体の過飽和溶液中に一方の光学活性体を種結晶として添加することにより、選択的に析出させる優先晶析法がある。しかしながら、優先晶析法による光学分割における問題点として、回分操作で行われるために、操作後半で非目的成分(不要成分)が析出して製品純度の低下を招くことが拳げられる。まず、優先晶析法による光学分割の適用性の検討を目的として、ラセミ混合物を形成するD-およびL-スレオニン、およびラセミ混合物を形成するS-およびR-BOC-ピペラジンを用いて検討を行った。その結果、ラセミ混合物を形成する系に対しては、競争析出(核化、成長)により望みの成分(L-スレオニン)が優先的に析出することが見出され、ラセミ化合物をつくるBOC-ピペラジン系に対しても優先晶析による光学分割が可能であることが示された(化学工学会第65年会(2000)で発表予定)。また、製品の純度低下機構の解明を目的として、D-およびL-スレオニンを用いて検討を行ったところ、純度の低下機構は結晶化している光学活性体と種結晶の表面形態の変化に関係していることがわかった(Colloids and Surfaces誌に掲載済)。さらに、異性化反応を伴う優先晶析による光学分割の適用性の検討として、D-およびL-DOPAを用い実験を行ったところ、通常の優先晶析法と比較して、分離効率が高いことが明らかになった。
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