研究課題/領域番号 |
10555275
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大塚 康夫 東北大学, 反応化学研究所, 助教授 (20091663)
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研究分担者 |
庄司 一夫 東洋エンジニアリング(株), 技術研究所, 開発研究室長
王 野 東北大学, 反応化学研究所, 助手 (40292304)
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キーワード | 二酸化炭素 / 天然ガス / エタン / ランタノイド酸化物 |
研究概要 |
本研究では、天然ガス(メタン)を低温で選択的にエタンに転換できるプロセスの開発を目指して、従来研究されてきた酸素より低い反応性を持つ二酸化炭素の利用に着目し、研究代表者らが見出したランクメイド触媒の高性能化を目的としている。これまでの成果に基づき、本年度は、プラセオジム酸化物の触媒性能を検討した。まず、プラセオジム硝酸塩を熱分解した後、石英製反応管に充填して様々な条件で前処理することにより、酸素欠陥サイト量の異なる非量論酸化物を調製した。欠陥サイト量は酸素の昇温脱離実験結果より求めた。次に、これらの触媒上でメタンと二酸化炭素の反応を行ったところ、500〜650℃の低温でエタンが90%の選択率で生成し、酸化物中の酸素欠陥濃度の増加とともにエタン収率が増加することを明らかにした。650℃より高温では、プラセオジム触媒の活性が低下するという興味ある現象も観測された。さらに、最大の活性を示した酸化物を用いて、二酸化炭素分圧の影響を調べたところ、エタン収率はその分圧にほぼ比例することを見出した。炭化水素の部分酸化反応では、酸化剤分圧が大きくなると生成物収率が低下することが一般に受け入れられていたが、上記の結果はこのような通説を覆す発見となった。これらの結果は、酸素欠陥サイトにおける二酸化炭素の活性化過程が、エタン生成反応のキープロセスであることを示唆している。このような二酸化炭素活性化機構の解明は次年度の検討課題である。酸化剤である二酸化炭素のソースに関するフィージイビリティ検討も行い、発電所排ガスからの二酸化炭素の回収は実際的ではないことが指摘された。
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