メタンの炭酸ガスリフォーミング反応は高いCO/H_2比を持つ合成ガス製造に適した反応と言えるが、問題点として炭素析出による活性劣化や反応器閉塞が挙げられる。そのため、高い耐コーキング特性を持つ触媒の開発が必要不可欠となっている。これに対しては、ニッケル-マグネシア固溶体触媒が、高い耐コーキング特性を持ち、長時間安定した高い触媒活性を維持できることを見出してきた。しかし、高圧条件下の実験(20気圧程度)では、顕著な炭素析出が観測された。本研究室においては炭素析出について分析することによりメタンの炭酸ガスリフォーミング反応の触媒開発において最も重要とされる触媒寿命の予測を行うことを目的とする。炭素析出については、析出速度、動力学的データ及び析出量を熱重量分析法により測定し、構造及び形態はXRD、ラマン分光法、TEMなどにより検討した。これらの結果から、析出炭素としては、ウィスカー炭素の形態をとることがわかった。また、高圧下では、ニッケルの凝集に伴い非常に大きな金属粒子が生成し、そこが核となって炭素を生成していることがわかった。炭素の生成機構の理解から、添加元素を検討したところ、SnやCaの添加が高圧条件下の炭素析出抑制に対して有効であることを見出した。SnはNi金属と合金微粒子を形成していることが示唆され、メタンに由来する炭素がほぼゼロになることが示された。一方、Caを添加した場合、メタンに由来する炭素は減少するものの、COに由来する炭素は増加することがわかった。これは、Caの添加による担体の塩基性向上により金属に流れ込む電子が増え、COへの逆供与の寄与が大きくなったことによっていると考えている。
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