メタンのリフォーミング反応における触媒開発において、炭素析出という問題点は明確なものの、その原因及び結果として生成した炭素の性質についての情報が十分得られているとはいいがたい。特に活性と炭素析出との相関については触媒寿命を考える上で非常に重要であり、これは実験室規模においても大きな意味を持つと思われる。本研究では、比較的短時間での実験結果から、活性寿命を考察するための分析手法の確立を目的とする。 メタンの炭酸ガスリフォーミング反応及びスチームリフォーミング反応、また水-炭酸ガスを同時に供給する反応について触媒活性試験、反応温度、空間速度及び反応全圧の依存性などについての基礎データを取った。本研究グループにより開発されたニッケル-マグネシア固溶体触媒を対象としたところ、高表面積なものに比較して、低表面積な触媒の方が高い耐炭素析出特性を持つことを見いだした。反応器内の触媒の位置によって炭素析出量解析から、低表面積な触媒では入り口付近にある触媒への炭素析出が大きく抑制されており、メタンの分解反応を選択的に抑えていることがわかった。さらに、新たな触媒開発においては、合金触媒の検討を行っている。現在のところ、本固溶体触媒にSnを添加した触媒では、さらに高い耐炭素析出特性を持つことが明らかになった。また、本高性能触媒と流動層反応器を組み合わせて、メタンの内部熱供給型炭酸ガス改質反応に対して適用したところ、同じ触媒を固定床反応器で用いた時に比べて、メタン転化率が高くなり、さらに高圧条件下においてもほとんど炭素析出することがないことがわかった。これは、触媒粒子が流動の最中に酸素とふれることによって析出炭素が容易に燃焼除去されること及び、酸化されて改質活性を失った触媒が反応器内でその場再生する機能を持っていることに起因していることがわかった。
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