研究課題/領域番号 |
10555289
|
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
新名 敦彦 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 教授 (30029235)
|
研究分担者 |
加藤 晃 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (80283935)
吉田 和哉 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50252622)
関根 政実 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70226653)
|
キーワード | サツマイモ / ペルオキシダーゼ / シロイヌナズナ / 熱ショック遺伝子 / 転写因子 / 位置効果 / タバコ細胞 / アルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子 |
研究概要 |
21世紀の課題は環境保全と資源・エネルギーの高効率利用とリサイクルである。太陽エネルギーとCO2から生産される植物バイオマスの大部分は廃棄物として処理される。この有効利用の例として、サツマイモの未利用の葉部に遺伝子組換え技術により、有用タンパク質を大量蓄積させることを目的とする。すでにサツマイモに有用酵素のペルオキシダーゼ遺伝子を導入し発現させたが、そのための要素技術として、今年度は遺伝子発現制御系の開発研究を行った。 1)熱誘導可能な制御系の構築 シロイヌナズナの熱ショックタンパク質遺伝子、HSP18.2のプロモーターの機能解析の一貫として、これに作用する熱ショック転写因子のCDNAをタバコから2種類単離した。大腸菌で発現させた転写因子は、インビトロでプロモーター内の熱ショックエレメントに特異的に統合した。また転写因子のアンチセンスDNA導入タバコでは熱ショック応答に変動が見られた。これらの基礎知見は熱ショックプロモーターの実用遺伝子の発現の人為的制御法に情報を提供する。 2)外来遺伝子の安定発現系 通常、植物に導入された遺伝子は染色体上の位置により発現が大きく変動する(位置効果)。これを回避し安定に発現させる方策が模索されているが、タバコ細胞から単離したアルコールデヒドロゲナーゼ(ADH)遺伝子のプロモーターの上流には、安定発現の候補となる領域の存在が示唆された。そこで、ADH遺伝子の転写開始点の上流200bp断片をCaMV35Sプロモーター/GUSレポーターのセットの上流に付加し、タバコ培養細胞の染色体に導入した。独立に取得した数百の形質転換細胞全てがGUSを示し、これはプロモーターの強度、染色体の特定の場所への挿入でないことから、位置効果を回避できる配列であると結論した。今後、応用面で多いに期待される成果である。
|