研究課題/領域番号 |
10555292
|
研究機関 | 川崎医療短期大学 |
研究代表者 |
望月 精一 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (60259596)
|
研究分担者 |
後藤 真己 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 教授 (50148699)
小笠原 康夫 川崎医科大学, 医学部, 助教授 (10152365)
梶谷 文彦 岡山大学, 医学部, 教授 (70029114)
平松 修 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 講師 (50208849)
松本 健志 川崎医療短期大学, 臨床工学科, 助教授 (30249560)
|
キーワード | 一酸化窒素(NO) / イヌ大腿動脈 / テトラヒドロビオプテリン / superoxide / 生体内総NO産生速度 / 硝酸イオン |
研究概要 |
1.摘出灌流血管における外因性NOの影響 昨年に続き、摘出イヌ大腿動脈を対象として流れ依存性の内因性NO産生を評価した。これまでの結果では、外因性NO(S-nitroso-N-acetylpenicillamine:SNAP)灌流時に血管内皮細胞内のNO合成酵素(NOS)の補酵素の一つであるテトラヒドロビオプテリン(BH_1)の濃度の減少が窺われた。BH_1はNOS活性部位からのsuperoxide anion(・O^-_2)の脱離制御因子であることを踏まえて、SNAPと同時に細胞膜透過性のある・O^-_2 scavengerのTironを灌流した。その結果、外因性NOによる流れ依存性内因性NO産生の抑制作用は、ほぼ抑制された。以上のことから、外因性NOによりNOS活性の維持のためなどに内皮細胞内BH_1が利用され、一過性にBH_1濃度が減少し、NOSから・O^-_2が放出され、・O^-_2自体による影響とともにNOと・O^-_2との反応生成物であるperoxynitriteによるNOS活性の低下が生じていたものと推測された。外因性NOによる治療を行う場合にこの点に留意してNOの使用を考えることが重要と思われた。 2.ヒト体内総NO産生速度の推算 昨年度から開始したヒト生体内総NO産生速度の推算方法に基づき、成人(男性5名、女性4名)を対象として、単純な絶食14時間後(夕食-朝食間)の血中硝酸イオン濃度を計測し、生体内総NO産生速度を推算したところ600nmol/minと求められ、昨年度の厳しい食事内容を制限した場合(1週間のpreconditioningなど)とも有意差を示さず、さらに従来法(尿中硝酸濃度と尿量との積、RI法など)により求められた値と同じレンジ内の値となり、簡便にNO産生速度が推算でき個体内あるいは個体間の定量的な比較、あるいはNO産生に変化を及ぼすような薬剤の効果の定量的評価が可能と考えられた。
|