研究課題/領域番号 |
10555302
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
三宅 幹夫 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80112019)
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研究分担者 |
山口 千春 大阪ガス(株), 基盤研究所, 副課長(研究職)
大谷 正幸 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 講師 (60295532)
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 教授 (30116123)
池田 修 金沢大学, 理学部, 教授 (60089878)
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キーワード | 一酸化窒素 / 電気化学センサー / 活性炭素繊維 / 電極被覆材 / 金属ポルフィリン / アセチルコリン |
研究概要 |
生体内一酸化窒素(NO)を計測するための電気化学センサーシステムの開発を目的とし、以下の成果を得た。 (1) 太さ10〜20μm、細孔半径8〜9Å、比表面積1000〜2000m^2/gを有する活性炭素繊維を調製した(山口)。 (2) 炭素電極被覆材を種々検討した結果、陽イオン性高分子であるポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、包接作用を有するα-シクロデキストリン、陰イオン性高分子であるナフィオンを順に塗布し、80℃で5分間乾燥させると安定性の高い膜が形成され、3重被覆電極を用いるとアスコルビン酸などのNO阻害物質を共存させても、NO酸化電流が選択的に検出できることが判った(三宅)。 (3) 金属ポルフィリンのNOに対する酸化触媒機構をテトラキス(N-メチル-4-ピリジル)ポルフィリンFe(III)を用いて検討した。金属サイトへのNOの還元的配位、本錯体の電解酸化、空金属サイトへのNOの配位という一連のサイクルが速く進行することが、高い接触電流を得るために必須であることを明かにした(池田)。 (4) 拡散に関するFickの法則に基づいたデジタルシミュレーションによって電気化学応答について解析した。被覆材の厚さが増すと酸化電流が抑制されること、パルス法などの短時間計測では物質の輸送速度によって電流が規定されることを示唆する結果を得た(大谷)。 (5) 鉄ポルフィリン誘導体を含むナフィオンで被覆したグラッシーカーボン電極を用い、生体系でのNO挙動を計測した。ラットより摘出した胸部大動脈に潅流液を流しておき、アセチルコリン10^<-8>Mを潅流液に添加すると6nAの酸化電流(約150nMのNOに相当)が観測された。一方、NO阻害薬であるL-NAMEを潅流液に添加したり、動脈の内皮を除去すると、アセチルコリンを添加しても酸化電流の増加は認められなかった(大和谷)。
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