研究課題/領域番号 |
10555304
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
工業物理化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
足立 吟也 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60029080)
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研究分担者 |
平嶋 克享 新日本金属化学株式会社, 研究員・顧問
増井 敏行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00304006)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 希土類酸化物 / 自動車排ガス浄化触媒 / 酸素貯蔵能 / ジルコニア / 希土類シュウ酸塩 / パイロクロア酸化物 / ヒドラジン / 化学気相輸送法 |
研究概要 |
本研究では、自動車排ガス浄化用触媒に必要な、高温耐久性と高い触媒活性を兼ね備えた希土類系酸化物、とりわけ助触媒として必要不可欠な酸化セリウム-酸化ジルコニウム複合酸化物の開発を目指した。その手法として、逆ミセル法によるナノサイズ超微粒子の合成法や、シュウ酸塩の不活性ガス中での熱分解を利用する合成法、及びヒドラジンによる還元熟成を応用する新しい合成法を開発した。さらに化学気相輸送法を応用した新しい表面改質プロセスを行うことで、酸素放出特性が著しく向上することを見いだした。 具体的な成果としては、酸化セリウム-一酸化ジルコニウム複合酸化物超微粒子を逆ミセル法によって合成し、これらをγ-アルミナ上に担持した触媒の活性および耐熱性が、通常用いられる共沈法により調製した触媒より高いことを見いだし、逆ミセル法を触媒調製に応用することで、優れた耐熱性を備えた微粒子担持触媒を調製できること、ならびに超微粒子の触媒への応用が可能であることを明らかにした。 また、セリウムとジルコニウムの複合シュウ酸塩微粒子を、アルゴンや窒素などの非酸化性ガス中で熱分解する新しい合成法により酸化セリウム-酸化ジルコニウム系複合酸化物を合成し、その酸化還元特性、とりわけ還元の際に放出される酸素量について詳細に検討した。その結果、シュウ酸塩の熱分解を経て得られた酸化セリウム-酸化ジルコニウム系複合酸化物は、従来優れた酸素放出特性を示すといわれていた、酸化物の水素還元を経由する合成法に比べ、実に1.5倍もの酸素を放出することを明らかにした。さらに、得られた複合酸化物の表面を、化学気相輸送法を応用した全く新しいプロセスにより改質したところ、酸素放出温度が著しく低下し、また、高温で繰り返し使用した後でもその特性を保持することが明らかとなった。 このほかにも、沈殿剤としてシュウ酸の代わりにヒドラジン1水和物を用い、複合水酸化物の合成と熟成・還元を同時に行う新しい合成法により得られた酸化セリウム-酸化ジルコニウム系複合酸化物についても、表面改質を行うことでその酸素放出特性が向上すること、ならびに耐熱性、耐久性が向上することを見いだした。
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