研究概要 |
都市型廃棄物の減容システムとして,セメントプラントが期待されている。その際,セメントプラントに塩素バイパスを設置し,塩化カリウムを主成分とする塩素バイパスダストとして塩素を除去し,規制値を満足するセメント製造方法が増加している。しかし,この場合には,塩化カリウムを主体とするダストをセメントに混和し,塩素高含有セメントとして無筋コンクリート異形製品などに有利に利用する方法を含めて社会基盤構築システムを構築する必要がある。一方,IS0対応では塩素規制値を増加させる検討も行われている。塩素高含有セメントの特徴を見いだすことや塩化物イオンの水和や硬化体の中での挙動を明らかにすることは,このような状況下において非常に重要な事である。塩化カリウムを含むエ一ライトおよびセメントの水和や硬化体の相組成などに関する詳細な検討を加え,塩化物イオンを含む場合は,初期の水和反応が促進されるが長期的には抑制される傾向を示すことを明らかにした。また,生成するケイ酸カルシウム水和物は,通常の場合と比較して,多量な塩素を含み,Ca/Si比が大きくなることや強度の空隙依存性が大きいので,水セメント比を低くして使用することが重要であることを明らかにした。以上のように,塩素高含有セメントの特徴を見いだしており,循環型社会としての都市型廃棄物減容システムを実現する社会基盤構築システムの可能性を示唆している。
|