研究概要 |
平成10年度、11年度の研究によりソフトプロセスによるリチウムマンガンスピネル粉体の合成に成功し、その電池特製は従来の方法により合成された場合とほとんど同等であることを見いたした。さらに、将来この方法が大規模な生産に用いられる場合を想定し、生成条件の緩和と生成コストの削減のモデル実験として平成11年度後半より、種々のリチウム塩-水酸化アルカリの組み合わせによるアルカリ複合溶液を用いた合成プロセスの開発を試みた。試みられたリチウム塩はLiCl,Li_2SO_4およびLiNO_3である。また水酸化アルカリとして、NaOH,KOHおよびLiOHが用いられた。KOHを用いた場合には、すべてのリチウム塩で副生成物として少量の層状化合物が混入することが見い出された。またLiOHを用いた場合には、水酸化リチウムとして投入されたLi量よりも少ないLiについては実験が不可能であることによる実験条件の制約が生じる。これらの結果を総合するとNaOHとLi_2SO_4の組み合わせが最適であることが判明した。またこの方法で合成されたリチウムマンガンスピネルを陽極活物質として用いた2次電池は従来のリチウムマンガンスピネルを用いた2次電池と同等の充放電特性を示すことも判明した。これらの研究結果より、当該研究は研究助成に十分値する成果を得られたと判断する。なお得られた平成12年度の成果は、日本化学会春季大会(2件)、電気化学会春季大会、粉体粉末冶金協会春季大会、同秋季大会、International Meeting on Lithium Batteries-Lithium2000-,Joint IRHR&ICSTRおよび2000環太平洋国際会議にて発表済みである。
|