研究課題/領域番号 |
10555314
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
徳田 昌生 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80001296)
|
研究分担者 |
佐々木 〓美 通産省, 工技院・北海道工業技術・研究所資源エネルギー基礎工学部, 技官
仙北 久典 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50241360)
折登 一彦 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20109482)
|
キーワード | 電解合成 / 二酸化炭素の固定化 / 抗炎症剤 / ナプロキセン / イブプロフェン / フルルビプロフェン / ハロゲン化ビニル / ビニルトリフラート |
研究概要 |
1. ハロゲン化ビニルを原料とする抗炎症剤前駆体の合成 アリール置換臭化ビニルを常圧の二酸化炭素の存在下、白金陰極-マグネシウム陽極を用いて電解することによって相当する2-アリールプ口ペン酸が高収率で得られることはすでに見出している。二酸化炭素の本電解固定化法を抗炎症剤前駆体の合成に応用した。例えば、1-ブロモ-1-(6-メトキシ-2一ナフチル)エデンを上記の方法で電解することによって、ナプロキセンの前駆体である1-(6-メトキシ-2-ナフチル)プロペン酸を84%の収率で合成することができた。この不飽和カルボン酸はRu-(S)-BINAP触媒を用い不斉水素化することによって高エナンチオ選択的に抗炎症剤である(S)-ナプロキセンに変換することができる。同様の電解カルボキシル化法によって、イブプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、シクロプロフェンの前駆体を高収率で合成することに成功した。 2. ビニルトリフラートを原料とするα,β-不飽和カルボン酸の合成 ビニルトリフラートを常圧の二酸化炭素の存在下上記に示した方法で電解すると、出発基質の置換基によって全く異なる生成物が得られることを新たに見出した。すなわち、アリール置換ビニルトリフラートからはα,β-不飽和カルボン酸が、一方、アルキル置換ビニルトリフラートからはβ-ケトカルボン酸が高収率で得られた。反応経路についても明らかにした。次年度はアリール置換ビニルトリフラートの電解カルボキシル化を利用して抗炎症剤前駆体の合成を検討する予定である。 3. 超臨界二酸化炭素中での二酸化炭素の電解固定化による抗炎症剤の合成 超臨界二酸化炭素中での電解法の開発に成功したので、1-クロロ-1-(4-イソブチルフェニル)エタンの電解について検討したところ、79%の収率でラセミ体のイブプロフェンを合成することができた。
|