研究概要 |
1. 配位性隣接置換基の反応促進効果の検討 3-位にメトキシ基、ハロゲンなどの置換基を導入することにより、2-メトキシ安息香酸エステルへのGrignard試薬の芳香族求核置換反応は、著しく促進された。また、3,4-ジメトキシ、および3,4.5-トリメトキシ安息香酸エステルは、4-位での芳香族求核置換反応を起こすことを見出した。種々の基質の反応性を比較検討した結果から、3-位置換基が2-位または4-位メトキシ基とともに求核試薬のマグネシウムイオンに配位し、2-位または4-位メトキシ酸素とイプソ炭素間の分極率を増大させることが、反応促進の原因と考えられた。また、ハロゲンの場合には、誘起効果が少なからず関与していることがわかった。 2. 二つの量換基の位置選択的導入法の検討 2-メトキシ安息香酸エステルへ電子供与性の低いカルバニオンを求核置換させたのち、第二の求核試薬として電子供与性の高いカルバニオンを作用させると4-位での共役付加反応が起こり、ワンポットで二つの異なる置換基を芳香環に連続的かつ位置選択的に導入できることがわかった。 3. Michellamine中間体の高効率合成法の確立 3-ブロモ-2,6-ジメトキシ安息香酸エステルへの2-メチル-2-ブロベニルGrignard試薬の芳香族求核置換反応は、3位臭素の反応促進効果により、2-位選択的に進行した。生成物をHMPA中ナトリウムメトキシドと作用させると、Michellamine合成中間体の5-ブロモ・8-メトキシ-3-メチル-1,ナフトールを短段階、高収率で合成できた。
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