研究概要 |
1.ターナフタレン類の不斉合成法の開発 1,4-ジアルコキシ-2,3-ナフタレンジカルボン酸、または1,5-ジアルコキシ-2,6-ナフタレンジカルボン酸の(-)-メンチルエステルに対する1-ナフチルGrignard試薬類の芳香族求核置換反応により、1,4-位、あるいは1,5-位に二つの1-ナフチル残基を有する軸不斉ターナフタレンの不斉合成に成功した。今後、これら軸不斉ターナフタレン類の不斉配位子としての利用が期待される。 2.キラルなインダノールの合成と応用 2,6-ジメトキシ安息香酸エステルにまずビニルGrignard試薬を、次いでアリールGrignard試薬を作用させて、芳香族求核置換反応を連続的に行い、2-アリール-6-ビニル安息香酸誘導体を高収率で得た。さらに、分子内Friedel-Crafts反応によりインダノン誘導体に変換後、カルボニル基を還元して7-メシチル-2,2-ジメチル-1-インダノールを得た。これを軸不斉2'-メトキシ-1,1'-ビナフタレン-2-カルボン酸エステルとして光学分割し、X-線結晶構造解析により、絶対立体配置を決定した。ここで得られたキラルなインダノールが高い不斉誘導能をもつことを、Prelog反応などの不斉反応で実証した。 3.Larreantin骨格合成 2,6-ジメトキシ安息香酸を出発原料として、このエステルに対する芳香族求核置換反応、共役付加反応を連続的に利用して、安息香酸骨格の2,4,6-位に三つの異なる置換基を位置選択的に導入する方法を確立した。こうして得られた2,3,4,6-置換安息香酸を鍵中間体として、生理活性天然物Larreantinの骨格形成法を達成した。
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