研究課題/領域番号 |
10555320
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 展開研究 |
研究分野 |
合成化学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
安東 政義 新潟大学, 工学部, 教授 (40004402)
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研究分担者 |
音松 俊彦 神戸天然物化学(株), チームリーダー(研究職)
平田 直則 神戸天然物化学(株), 開発部長(研究職)
鈴木 敏夫 新潟大学, 工学部, 教授 (80202133)
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研究期間 (年度) |
1998 – 2000
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キーワード | タキソール / 日本イチイ / タキサンジテルペン / 多剤耐性がん克服剤 / P-糖蛋白質阻害剤 / 新規作用抗癌剤 / イチイカルス / タキソール生合成 |
研究概要 |
(1)日本各地のイチイ針薬の中性部からの新規抗癌剤タキソールならびにその他のタキソイドの酸および塩基による振分けと順相、逆相クロマトグラフィーを組合せた効率的分離法を開発した。また、この手法を適用し、各地のイチイの成分検索を行いその含量の比較検討を行ったところ、最大25Kgの生葉当たり1gのタキソールを単離できることが分かった。一方、これまでにイチイ針葉から単離した非タキソール型のタキソイド98種類の内、42種類を(財)癌研究会に於いて多剤耐性癌克服の一次スクリーニングに供したところ、11種類の化合物に強い活性が認められたので、本年度はさらに成分検索を進めると共に高次の制癌活性の検定を進めたところ、これまでの抗癌剤とは異なる作用機作が期待される制癌活性タキソイドを見いだした。 (2)仙台産のイチイからイチイカルスを誘導し、種々の条件で培養、増殖させその生産物を検討したところ、最高で乾燥カルス1Kg当たりタキソール263mgを生産した.この条件で同時に得られるタキサン型ジテルペンは14種類、総生産量は乾燥カルス1Kg当たり16.6gであり、このカルスの生産性は大変高いことが分かった.この内、針葉からは得られない5種類の化合物に強い多剤耐性癌克服剤としての活性が認められたので、これらの活性タキソイドのさらなる生産性の向上を目指し、カルスの培養条件、添加物等を検討し、それらの生産を2〜3倍にまで向上させる事に成功した。 (3)上記の(1)および(2)で得られた制癌活性タキソイドのイチイ針葉中の含有量の多いタキソイドを中間体とする部分合成に依る合成研究を進め、幾つかのターゲット制癌活性タキソイドの部分合成ルートを確立し、より高次の制癌活性の検定に供するためのサンプル量を確保する事ができた。 さらに本研究の総括、取り纏めを行い、制癌活性の検定結果から構造相関を行い、再生可能資源であるイチイ針葉からのタキソイドを用いた効果的な制癌剤、多剤耐性癌克服剤開発の可能性を検討した。
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