研究概要 |
本年度では、ポリベンジルエテールデンドロン組織を置換基として有するジペプチド Boc-Tyr(Ln)-Alaを合成し、それらの自己組織化挙動について検討した。アセトン、アセトニトリル、あるいはクロロホルムとベンゼンの混合溶媒中、世代の大きいなデンドリマーは極めて薄い濃度(1.0mM)でも物理ゲルを形成する。詳しい検討から、それらのゲルは水素結合により自己組織化した繊維状の構造を持っていることが分かった。即ち、まずコア同士が水素結合して直径約20nmの基本ファイバーを形成し、これがさらに階層的に組織化し、直径1〜2μmの巨大なファイバーを与えている。コアのアミノ酸のC末端がメチルエステルのものは同じ条件下ではゲルを形成しない。同じく、表面の4-メトキシカルボニルベンジル基を1,3-ジメトキシベンジル基に変えたものもゲルを形成しない。以上の事実から、コアユニット、デンドリマーユニットの両方の構造がゲルの形成に大きく影響しているといえる。一方、以上のゲル形成とは別に、これらのデンドロンをホットステージを用いて、加熱・冷却するとある条件下でラセンフィラメントからなるデンドライト状の集合構造が現れた。
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