研究課題
我々はDNAをアルギン酸とのコンプレックスにする方法により、DNAをその天然構造を保ったまま効率的に不溶化する方法を見出し、この方法を用いて、多くの利用の道を開発した。一方、上記の研究の過程でDNAはコラーゲンとの複合体にもでき、特に医用高分子の分野で極めて有望な複合素材ができること、また、紫外線照射によりDNAをセルロース不織布等、様々な材料に結合させることができることなどが明らかになった。本研究では上記の成果をさらに発展させ、特に北海道で多量に廃棄されているサケ白子DNAを含む各種の機能性複合素材を開発し、例えば生医学材料などとしての実用化を目指し、次の研究を行った。(1)外科手術用補助素材の研究:外科手術後の臓器どうしの癒着を防止する癒着防止剤や切開部の縫合補助、出血防止を目的とした組織接着剤、止血剤をDNAを含む各種複合素材を用いて検討し、有望な生体高分子系止血剤を開発した。(2)皮膚に優しい創傷被覆材の開発:DNA-コラーゲン複合体よりなる創傷被覆材は動物実験の結果、傷口にかさぶたを作らずすみやかに治ることが明らかとなった。肌の傷を"美しいまま治す"創傷被覆材を開発した。(3)環境ホルモン集積・除去用素材の研究:紫外線照射によりDNAを各種素材に結合させ、インターカレート性の環境ホルモンである、ダイオキシン、PCB等を集積・除去する材料を開発した。
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