研究課題
我々のグループはDNAをコラーゲンやアルギン酸との複合体にする方法により、DNAをその天然構造を保ったまま不溶化して、フィルムや繊維にする方法を見出し、この方法を用いて、多くのDNA利用の道を開発した。一方、紫外線照射により水不溶性のDNAフィルムが調整でき、またDNAをセルロース不織布、多孔性ガラスビーズ等、様々な材料に結合させることが出来ることなどが明らかになった。本研究では上記の成果を用いて、特に北海道で多量に廃棄されているサケ白子DNAを含む各種の機能性複合素材を開発し、例えば生医学材料や環境ホルモン除去材料などとしての実用化を目指し、次の研究を行った。(1)環境ホルモン集積・除去用素材の研究:紫外線照射によりDNAを各種素材、特に多孔性ガラスビーズに結合させ、インターカレート性の環境ホルモンである、ダイオキシン、PCB等を集積・除去する材料を開発した。このDNAを結合させた多孔性ガラスビーズに環境ホルモン類を流すと、平面構造をとるダイオキシン類、PCB類等は吸着除去されるが、平面構造をとらない環境ホルモンのビスフェノールA等は全く除去されず、高い選択性を示した。この高い選択性を利用してミルク中のダイオキシン、PCB等の選択的除去の試みを行っている。(2)外科手術用補助素材の研究:外科手術後の臓器どうしの癒着を防止する癒着防止剤や切開部の縫合補助、出血防止を目的とした組織接着材、止血材をDNAを含む各種複合素材を用いて検討し、有望な生体高分子系止血材を開発した。
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