研究課題/領域番号 |
10555335
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田川 雅人 神戸大学, 工学部, 助教授 (10216806)
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研究分担者 |
太田 斉 三菱電機, 先端技術総合研究所, 主幹研究員
大前 伸夫 神戸大学, 工学部, 教授 (60029345)
志村 孝功 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90252600)
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キーワード | 原子状酸素 / 宇宙環境 / トライボロジー / 低地球軌道 / マイクロサテライト / 二硫化モリブデン / 地上試験 / ダイヤモンドライクカーボン |
研究概要 |
宇宙開発におけるトレンドであるマイクロサテライトに与える宇宙環境の影響を総合的に評価するために、本研究では昨年度、二硫化モリブデンを用いて実験をおこない、(1)単結晶では原子状酸素を照射することによっても摩擦特性の大きな変化は見られず、二硫化モリブデン(0001)面では原子状酸素の反応性が小さいこと、(2)スパッタ膜では同程度の原子状酸素の照射によっても大幅な表面酸素濃度の増大が認められ、ほぼ表面が酸化物に覆われていることが示された。また、この場合には原子状酸素の照射により初期摩擦力の明らかな増加が観察され、さらにその増加は原子状酸素照射量に比例して増加してゆくことも明らかにした。今年度は試料を昨年までの二硫化モリブデンに、新たにダイアモンドライクカーボン(DLC)を加え、酸素分子線、および真空紫外線(172nm単色光)の照射によるトライボロジー特性の変化を測定した。その結果、二硫化モリブデン(真空中での摩擦係数0.01)に対しては、紫外線単独照射は大きな影響を与えないが、酸素分子線照射あるいは酸素分子線と紫外線の同時照射によって摩擦係数は0.25程度まで上昇する事がわかった。またDLCに対しては垂直荷重を0.2Nまで減少させ、マイクロサテライトでの摺動条件により近づけた状態での試験を行った。その結果、DLCの摩擦係数は真空中での値(0.2-0.3)に対して、真空紫外線ならびに酸素分子ビームを同時照射する事によって摩擦係数は0.05-0.02程度にまで減少することが明らかになった。
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