本研究は、実際の海洋骨組構造物の極限強度設計に適用可能な汎用的な解析・設計システムを構築することを目的としている。すなわち、海洋環境下において重要な動的非線型解析(動的塑性有限変形解析)における順応型 Shifted Integration法の計算アルゴリズムを確立することを第一の目的としている。さらに、順応型 Shifted Integration法に適合した並列処理ソルバー、プリ・ポスト処理システム、外力評価ルーチンを一貫したハードウェア環境において開発し、合理的・効率的な大規模海洋骨組構造設計支援システムを構成することにより、本手法の実用化へのプロトタイプモデルとする計画である。 本年度は、大規模海洋骨組・構造設計支援システムの完成および検証を目指して次の作業を行なった。すなわち、大規模計算のための並列処理・連立方程式ソルバー、プリ・ポスト処理プログラム、および波浪、地震などの全体強度に関連した外力評価ルーチンを作成し、これらと前年度作成の解析プログラムを統合することにより、全体システムを完成させた。特に、大規模骨組構造を対象とした崩壊解析の計算効率および計算のロバスト性を飛躍的に向上させることを可能とする、新しい有限要素モデリング法を開発した。このプログラムを、流水、船舶などとの衝突を想定した、様々な形状の骨組構造の動的クラッシュ解析に適用し、実験結果、多の数値解、既存の有限要素法との比較により、本解析プログラムの計算効率、計算精度面での実用性、有用性を実証した。ハードウェア環境としては前年度に購入したデジタルサーバシステムおよび本年度購入したパーソナルコンピュータシステムを使用した。
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